
こんにちは、Shawnです。
ローカルのズッキーニファームジョブを必死の思いでゲットした後のお話。
『這いつくばって手に入れたローカルファームジョブの話』の続きです。


ズッキーニファームのオーナーWarren(ウォーレン)との出会い
念願のファームジョブ!
やっとセカンドビザ取得に向けて進み始めた僕でしたが、英語もイマイチ、、、カネもない、、、クビになったらどうしよう。
ビクビクしながら出勤初日を迎えました。
当日、僕を現場までピックアップしてくれたのは、めちゃくちゃオージーアクセントのWarren(ウォーレン)でした。
僕はファームジョブに関して、ネットでたくさんの悪い記事を見ていたので「仕事の環境はどう?」「大変ですか?」など聞ける限りのことをウォーレンにききました。
彼は嫌な顔せずに快く僕の質問に応えてくれて、いろいろ教えてくれたのですがよくわかりませんでした…。
ズッキーニ畑 苗にかかる鉄のワイヤー ワイヤーの束
現場到着すると、作業のことを説明してくれました。
どうやら僕の作業は、ズッキーニの苗の上に円状にかかった鉄のワイヤーを引き抜いて片付ける仕事のようでした。
僕の他にもふたりほどヨーロッパの人が働いていました。
一見すると、誰でもできそうなこの仕事。めちゃくちゃハードでした。
何本ものワイヤーを手に持ちながら果てしないズッキーニ畑を彷徨うんです。笑
ワイヤーは鉄でできているうえ、深く刺さっていてかなりの長さがあるので、想像よりも一本の重さがあります。
腕はしだいに悲鳴をあげ、手の皮が剥けてきます。
「これがファームジョブか…。」
でも、後には引けない。
僕はクビにされたくない一心で必死に作業をしました。
1週間ほど続けて念願の給料も手に入れましたが、最初の給料はRoger(ロジャー)への借金返済(這いつくばって手に入れたローカルファームジョブの話 参照)で消えていきました。笑
しかし、生活するには十分な給料。
オーストラリアで初めて自分で稼いだお金でした。
そのお金で買ったビールはうまかった、、、体に滲みわたりました!
広大な畑のワイヤーを全て抜き終えると、次は苗の整備がスタートしました。
収穫まではまだまだ工程がありそうです。
国籍なんて関係ない:尊敬できるボス。
ズッキーニの苗の周りには栄養があるため他の雑草も生えてくるし、ズッキーニは成長がすごく早いため、実が小さなうちから間引きをしなければ状態の良いものは収穫できない。とウォーレンが教えてくれました。
広大なオーストラリア の大地 収穫前のズッキーニ
クビにされたくない必死さがウォーレンに通じたのか、ウォーレンはよくズッキーニ畑のことやオーストラリアのこと、動物のことなど、いろんなことを教えてくれました。
僕が外国人で英語がわからなくても関係ない。
僕の働きぶりを評価してくれて、きちんと尊敬してくれる。
小さなミスは大きな声で笑って許してくれる。
僕はここにこれて本当にラッキーで幸せだ!なんて思いながら充実した日々を送っていました。
でもふと気づくとフィールドには僕とウォーレンのふたりだけ…。
「ん?」
他の人はどうしたのか聞くと
「彼らは毎日は働きたくないんだ。いつも休みが欲しいっていうからじゃあ来なくて良いよって行ったのさ。」
「俺が欲しいのはハードワーカーなんだよ!わかるだろShawn?」
それってクビにしたってことやん….!!
突然のファイヤーを目の当たりにした僕は、さらに気合を入れて働くことにしました。笑
当時の生活リズム
しだいに収穫の時期が近づき、僕はファームジョブにさらに集中することにしました。
当時の1日の流れはこんな感じ。
ズッキーニの収穫シーズン到来!
早朝の作業風景 美しいズッキーニ
いよいよ収穫の時が!!
知らない土地でボスとふたり作業を繰り返し、まだズッキーニが花をつけていた頃から作業に携わっていたので、この瞬間はとても感動的でした。
ウォーレンからも出来上がったズッキーニに対して、「プライドや愛情」みたいなものを確かに感じました。
ウォーレンのズッキーニは上質で、出荷もすごく丁寧。
おそらく高級ズッキーニだったのだと思います。(メルボルン のレストランなんかに出荷すると言っていました)
ズッキーニの収穫方法
収穫はトラクターが畑をゆっくりと走り。
ピッカーがそれについて歩きながらピッキングしていくというスタイルでした。
トラクターの横には長いベルトコンベアがついていて、ピッカーが収穫したズッキーニをコンベアの上に置きます。
ズッキーニはコンベアからトラクターの荷台へ流れていき。
大きなバケツ(ビンと呼ぶ)に入るといった仕組みです。
僕はトラクターの後ろに乗り込み。
流れてくるズッキーニのヘタをナイフできれいにしたり、ズッキーニがぶつかったりすれたりしないようにする役目でした。
僕のほかにはマレーシアのワーカーたちがいて、彼らがピッキングをしていました。
収穫に使うトレーラー
シーズンが進むにつれて収穫量も増え、育ちすぎたズッキーニはまるでバットのような大きさにまでなっていました。
ウォーレンに「ズッキーニがめちゃくちゃでかいよ!」というと「あぁそうだな!多分女の子が好きなサイズだぜ!笑」なんてオージー下ネタも炸裂したもんです。
ズッキーニのトゲはやばい。
ちなみに僕もたまにピッキングしたんですが、ズッキーニには鋭いトゲがあり。
このトゲが刺さるとマジで指がパンパンに腫れます!(おそらく何かしらの毒素がある?)
この腫れは恐ろしく、まともに指がまげられなくなりました。
ズッキーニのトゲによる腫れ(右) 腫れの後の手
走り出したヤツが…:違法ワーカーの闇
マレーシアのワーカー達とも少しずつ仲が良くなり
僕が日本人だというとしきりに「マリア・オザワ!?」「マリア・オザワ知ってるか!?」と聞いて来ました。
一体誰なんだろ?って気になって調べてみるとマレーシアで有名なAV女優だそうで、マレーシア男子達は大好きなんだそうです。笑


みんなすごく気のいい連中で、たまにタバコをくれたり「アリガト」と日本語で言ってくれたりすごく明るくフレンドリーな連中でした。
ある日、マレーシアのワーカーのMick(ミック)に「マレーシアの人は何のVISAで滞在しているの?」と聞くと「自分はワーカーのビザを持っているけど結構VISA無しでいるヤツも多いよ」と…。
そう、不法滞在で出稼ぎに来ている人も中にはいるそうなんです。
オーストラリアで働いて稼いだお金を母国に持って帰ったとしたらかなりの大金です。
彼らにとってはオーストラリアンドリームです!
僕はミックに興味本位で、ある質問をしてみました。



でも、どうやってそんなワーカーを見分けるの?



簡単だよShawn!
たまに政府の連中が視察に来るんだけどな!
そん時に走って逃げ出した奴はVISA持ってねぇヤツさ!!
マジか。
彼らの厳しい世界を知った瞬間でした。
ウォーレンが僕に教えてくれたこと
ウォーレンはたくさんのことを教えてくれました。
例えば、ズッキーニは受粉させて実を取るのですが、ウォーレンはファームの近くにそのための養蜂の箱も設置していました。(取れたての蜂蜜もいただきました。すげぇ美味かった…)


他にも、外気温が15度以上にならなければ、ズッキーニの花の受粉に必要なハチが動き出さないことや、蕾ができて花が咲いてから4、5日で収穫にできるようになること、出荷までにはクリアしなければいけない基準があり細胞テストを定期的に行うこと、ハチは一生のうちスプーン一杯ぶんの蜂蜜しか集められないことなどなど。


野菜作りは簡単ではなく気候との駆け引きや、きちんとしたプロセスを踏まないと、けっして質のいいものはできない。
ウォーレンがプロであり情熱を持って仕事をしていることを知りました。
僕はどんなことでも、あれこれ質問するので「Shawnはいつかズッキーニ育てるんだろ?」なんてからかわれてましたね。


ズッキーニファーム:出荷とシーズンの終わり


ピーク時にはピッキングしたズッキーニが多すぎて、ボスの家に出向き出荷のお手伝いもしました。
家には3匹のかわいい犬がいて、何度も行くうちに僕のレッドクリフスでの初めての友達になりました。笑
仲良くなった犬 出荷風景 丁寧な梱包
忙しく過ごしているのも束の間。
ある日ウォーレンから電話が入ります。



Shawn…シーズンが終ったんだ。
君は本当によくやったよ。素晴らしい仕事だった。



え!?
シーズン終わり!?
なんで!?
フィールドにはまだまだズッキーニあるのに!



あぁぁ…マーケットの価格が下がっちゃったんだ。
だからこれ以上は取らないんだよ。



そうなんだ…他にはなんか手伝いできることある?
何でもいいからウォーレンと働きたいんだけど!



今んとこないなぁ…
畑の片付けはするけどまだ先なんだよ。
ごめんな。
突然でした。他のワーカーに挨拶すらできず。
上手くウォーレンに感謝の気持ちすら伝えられないまま、僕のズッキーニの仕事は終わってしまいました。
まだビザをとれる88日も働いてないし、突然仕事を失いかなり落ち込みました。
でも、ボスが悪いわけではない。
個人で経営していることもあったのでワーカーをたくさん抱えるのは大変なんだろうな。と正直納得でした。
何よりも、僕自身彼と働けて幸せだったので後悔はありませんでした。
ウォーレンとはそれっきり会えていませんが、でもいつかウォーレンのファームには挨拶に行きたいなといつも思っています。
そして今度は、あの時の気持ちを少しでも伝えたいなと思います!


そんな僕の初ファームでした!:)
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